今回のテーマは、「読書」です。
今回紹介する本は、教員はもちろんのこと保護者の方にも是非読んでいただきたい本になります。
ちなみに案件ではないので、ご安心ください。私の自己満足で紹介します。
今回紹介する本は、
「学力の経済学 教育経済学者:中室牧子」です。
読んでいただきたい理由は主に3つあります。
1つ目は、因果関係なのか相関関係なのかを日々考えるクセをつけてほしいからです。
2つ目は、学級経営や教科指導をする際の手段として本書に記載されていることを実践してほしいからです。
3つ目は、良い教員について記載されているので、それを参考にして日々指導力や人間としての魅力を培ってほしいからです。
では、ここからはそれぞれの理由について説明をしていきます。
まず初めに、1つ目の理由である「因果関係なのか相関関係なのかを日々考えるクセをつけてほしい」理由から説明していきます。
おそらく多くの学校は朝読書を取り入れているのではないでしょうか。
いきなり読書の話になり何のこっちゃ?と思うかもしれませんが、一旦読んでいただけると助かります。
本書には、「本を読むことで勉強ができるようになる」と「そもそも勉強ができる子は読書の習慣がある」という表現が用いられています。(若干表現は違います)
前者は、因果関係になります。
Aという原因があり、Bという結果になる。(因果関係)
後者は、相関関係になります。
AとBが同時に起こっている。(相関関係)
つまり、因果関係なのか、相関関係なのかわからない状態で無意味に読書をさせても無駄な労力やお金を費やすことになり、教育をしているという錯覚を起こしています。
普段から、自分の授業を振りかって因果関係なのか相関関係なのかを把握して授業や生徒指導に臨むクセをつけないと指導力は伸びません。
例えば、普段読書をしなかったA君が急に読書をするようになって、それに伴いテストの点が上がったとして、それが読書のおかげであるというのは浅はかな考えになります。
ましてやそれで、「A君を見習いなさいと」生徒の前で言った日には目も当てられません。
もしかしたら、A君は読書をしているフリをしているだけかもしれません。
塾などにいくことになり、テストの点数が上がるようになったのかもしれません。
はたまたそれ以外のことや日々の努力が身を結んで結果が現れるようになってきたのかもしれません。
そのように深く考えていくクセをつけて、日々指導力の向上を図ってほしいからこそ、因果関係と相関関係について知ってほしいのです。
次に2つ目の理由である「学級経営や教科指導をする際の手段として本書に記載されていることを実践してほしい」ことについて説明します。
例えば、生徒を誉めるときに過程をほめるのか、結果をほめるのかによって生徒の伸び代は変わってきます。
結論から言うとどちらをやっても良いのですが、注意点があります。
もしそこを間違えると生徒のモチベーションを下げることになり、逆効果になりますので慎重にことを運んでください。
本書には、ミューラー教授らの実験について記載されていています。
実験としてテストの結果をほめるのとテストまでの過程をほめるという2つのパターンの実験を行いました。
その結果、過程をほめらてた子どもの方が成績が伸び、逆に結果をほめられた子どもは成績を落とすという結果になりました。
私個人としても過程をほめることをおすすめします。
こちらは大変ではありますが、生徒との信頼関係を築きやすいからです。
それに生徒も過程をほめられることで、それを継続していく可能性も高まるので、一石二鳥です。
かつ、変にガミガミ言うよりもこっちの方がお互いに気持ち良く接することができるからです。
ただ、結果をほめることがいけない、ということでもないのですが、まずは生徒を観察したりほめ方を工夫したり覚えるために過程に視点を向けて取り組んでいただきたいです。
最後に3つ目の理由である「良い教員について」を説明します。
本書では、「遺伝や家庭の資源など、子ども自身にどうしようもないような問題を解決できるポテンシャルを持つのは教員」と言うことが記載されています。
つまり、生まれや育ちが恵まれていないとしても、教員が関わることでそれを塗り替えていける可能性を高めることができるのです。
ただ、そこまで大それたことをできるようになってほしいというわけでありません。
自分自身にも生徒の可能性を変えていける内なる力があるんだ、それを毎日少しずつ育んでいきたい、そのような気持ちで臨んでいただければ幸いです。
それ以外にも良い先生というのは、生徒の成績を上げることができたり、望まない妊娠の確率を下げたり、大学進学率や将来の収入を高めることも明らかにしています。
良い教員の条件以外にも教員が押さえておくべき重要な要素が本書にはたくさん記載されています。
失礼な話教員の質を高めるために研修は無意味であることも示唆されています。
しかし、それは研修に臨む姿勢も関与していると個人的には思っています。
私は、授業が下手でそれを改善すべく研修にも参加して、学んだことを少しずつ授業に取り入れて改善を図っていきました。
徐々にではありますが、少しずつ改善がされ授業もしやすくなったことを覚えています。
日々、少しずつ自身を高めていけば、そのような姿勢を見せていけば、生徒もあなたのことを一目置き影響を受けて、より良い方向へ導くことができるかもしれません。
大変だと思いますし、根気が必要なのも事実です。
しかし、この記事を読んでいるリテラシーの高いあなたならそれが可能なはずです。
自信をもって日々生徒と向き合って生徒の人生に影響を与えられるような教員になってください。